2024年7月18日
歯科治療において、精密な作業を行うためには適切な視覚補助器具が欠かせません。
特に、歯科用顕微鏡とルーペは多くの歯科医師にとって必須アイテムです。
しかし、初心者にとってどちらを選ぶべきか、またどのような基準で選べば良いのかは悩むところでしょう。
本記事では、日本国内での歯科用顕微鏡とルーペの選び方について詳しく解説します。
各器具の特徴やメリット、デメリットを比較し、初心者でも自分に最適な視覚補助器具を見つけるためのポイントを提供します。これから歯科医療の現場で活躍を目指す方々にとって、役立つ情報をお届けします。
歯科治療において「拡大視野」は非常に重要です。
特に、歯科医が使用する顕微鏡やルーペは、治療の精度を大きく向上させます。
これにより、虫歯の細部まで確認できるため、より精度の高い治療が行えます。
手術用顕微鏡を用いることで、ルーペよりもさらに高倍率で高精細な拡大視野治療が可能となります。
ルーペ、顕微鏡はそれぞれメリット・デメリットがあります。これらの特徴を理解して使い分けることで
治療の「精度」と「安全性」が飛躍的に向上します。歯科医にとって、これらのツールは欠かせない存在です。
筆者の私は20年前からルーペを使用して診療しています。
これまで使用してきたルーペは7種類です。様々なルーペを使用きました。
一方で手術用顕微鏡の使用歴はまだまだ短いです。
高倍率ルーペを使用していたので、顕微鏡の必要性を感じていなかったからです。
しかしながら顕微鏡を用いた治療も増え、現在では両者を使い分けています。
基本的にはルーペをメインで使用しておりますが、歯内治療では顕微鏡を使うことが増えてきました。
拡大鏡(ルーペ)とマイクロスコープは、歯科治療において重要な役割を果たしています。
ルーペは「軽量」で使いやすく、歯科医が手元の作業を拡大して見るために使用されます。眼鏡やゴーグルの形状なので扱いやすく機動性に優れています。
特に短い時間で効率よく診療をしなければならないときにはマイクロスコープよりルーペに軍配が上がります。
また、マイクロスコープに比べ安価(と言ってもオーダーすると30~60万円ほどはかかります)なため導入しやすこともメリットです。
なお、通販で売っている数万円のルーペとオーダーで作成する50万円前後のルーペは全くの別物です。
安価なルーペは初めてルーペを使用する方の入門用としては使用できますが、高精度の治療を行うには物足りません。
ルーペは長く使うものなので、できればオーダーして作成しましょう。
ルーペには様々な種類があります。
ルーペ部分を跳ね上げるフリップタイプや眼鏡のレンズに貫通してルーペを取り付けているTTL(スルーザレンズ)タイプ。
フレームも眼鏡タイプからゴーグルタイプやヘッドマウントタイプなど。
まずは自身の環境に合わせて最適なルーペを選ぶことが大切です。
フリップタイプの特徴としては製品数が多いことです。
通販の安いタイプもフリップタイプがほとんどです。
特徴として瞳孔間距離を変更できます。そのため複数の使用者でルーペをシェアすることができます。
また、不要になった際にも誰かに譲ることができます。
フレームも眼鏡タイプからゴーグルタイプ、ヘッドマウントタイプがありレパートリーが豊富です。
普段眼鏡をかけている方でも眼鏡型フレームであればレンズに度を入れることができるので、
ルーペを使用しないときはフリップアップすることで眼鏡をかけている状態となります。
一方で欠点としては重量が思くなること、
ルーペの接眼レンズが目から遠いことで視野が狭くなることが挙げられます。
また、基本的にルーペを複数人でシェアして使用することは無いので瞳孔間距離を調整(変更)する機会はあまりありません。
TTLタイプはフレームのレンズにルーペを貫通させています。
基本的にはオーダーメイドで作成します。
レンズには度を入れることができるため、眼鏡にルーペが付いているような感覚でルーペが使用できます。
最大のメリットはルーペの接眼レンズと目が近いことです。
このことにより視野が広くなります。
また、フリップタイプに比べで重量が軽いことも特徴です。
デメリットとしてはレンズにルーペが貫通して取り付けられていますんので瞳孔間距離を変更することができません。
また、強度に劣ります。
レンズにルーペを貫通させている構造上、ルーペ部に衝撃が加わるとレンズ部分が破損します。
修理にも長い期間を要します。
私はどちらのタイプ使用してきましたが、個人的にはTTLタイプを推奨します。
マイクロスコープを使った精密治療は、歯科医療の新たなステージを切り開きます。
従来の「ルーペ」では見逃してしまう微細な部分まで確認できるため、治療の精度が飛躍的に向上します。
特に歯内治療では非常に有効です。
歯内治療では根管探索時などは10~20倍程度の倍率で、切削器具での根管形成や支台歯形成時には10倍前後の倍率を多用します。
ルーペでは拡大率は高くて8倍程度です。
実際に8倍のTTLタイプを長年使用してきましたが、さすがに8倍のルーペはかなり重く、
ルーペ使用時はかなり頭部周りの筋肉に負担がかかっていました。
そのため、ルーペで10倍前後の拡大率はあまり推奨されるものではありません。
また、マイクロルーペに使用されているライトは非常に強力です。拡大率が上がるにつれてライトの明るさも上げなければなりません。
ルーペでは強力なライトを使用することは困難で、歯内治療においてはマイクロスコープに軍配が上がります。
マイクロスコープの利点してはルーペよりも拡大率が高いこと、強力なライトがあることです。
また、オプションで術野の写真や動画を撮影できる機種もあります。
患者さんへの説明にはもちろんのこと、スタッフ教育などにも有効でしょう。
マイクロスコープは、根管治療の精度を飛躍的に向上させる「歯科」医療機器です。
従来の「ルーペ」では見えにくかった微細な部分も、顕微鏡を使うことで鮮明に確認できます。
これにより、治療の成功率が大幅に高まり、患者の負担も軽減されます。日本国内でもマイクロスコープを導入する医院が増えてきました。保険治療にも一部導入されております。
歯内治療においてはマイクロスコープを利用した治療がスタンダードとなっていくでしょう。
精密治療は、歯科医療の新たなステージを切り開いています。顕微鏡やルーペを使用することで、従来の肉眼では見えなかった微細な部分まで確認できるため、治療の「精度」が飛躍的に向上します。これにより、虫歯や歯周病の「早期発見」が可能となり、患者の負担を大幅に軽減することができます。また、精密治療は治療の成功率を高め、再治療のリスクを低減します。特に、根管治療やインプラント治療においては、その効果が顕著です。さらに、治療の際の痛みや不快感を最小限に抑えることができるため、患者の満足度も向上します。精密治療の導入により、歯科医療の「質」が一段と高まることは間違いありません。
当院では、患者さんが抱えていらっしゃるお口のお悩みや疑問・不安などにお応えする機会を設けております。どんなことでも構いませんので、私たちにお話ししていただけたらと思います。
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